役員退職金の構築

役員退職金の上限

役員の受取る退職金は、法人として損金算入できる金額に上限が設けられています。それ以上の金額を受取ることも可能ではありますが、税務メリットが得られないため、実際には損金算入可能な範囲内で設定されています。損金算入できる上限は、下記の計算式で導き出します。
最終報酬月額 × 在任年数 × 功績倍率

最終報酬月額:最後に受け取った月給の金額
在任年数:役員として在席した年数
功績倍率:法人に対する貢献度から算出し、一般的には3が限度といわれています。
例えば最終報酬月額が200万円、在任年数が15年、功績倍率を2.5倍とすると、
200万円 × 15年 × 2.5 = 7,500万円 となります。

役員退職金の積立て

役員退職金は、その法人が保有する資産から割り当てるため、積立て方法によって原資の大きさに、かなりの差が生じてきます。例えば銀行預金で積立てると、毎年積み上がっていくのは税引き後の利益となるため、貯まる速度は鈍くなります。いっぽう損金性の貯蓄型保険を活用すれば、税引き前の利益から貯められるため、前者と比べて短期間、または同一期間であれば、より大きな原資を貯めていくことが可能です。

使用する保険商品は、積立て期間や金額の大きさによって異なりますが、概ね支払保険料の半分が経費となるタイプが一般的です。比較的若い後継者を被保険者とすることができれば、全額経費の商品を使うことも可能です。積立てる期間も5年未満だと効果が薄れてしまうため、ある程度事前に準備されることをお薦めします。

退職時期の選定

役員退職金で最も難しいといえるのが、いつ退職するかという問題です。将来のことで後継者の問題も関係してくるため、1~2年前後する例もザラにあります。そのため退職時期に幅を持たせて、それに対応し得る商品選定を行うことが重要です。保険商品の中には、例えば7年目の解約返戻率が高くなるものの、翌年から急激に下降していくようなタイプも存在します。もしも退職時期が後ろにズレ込んでしまうと、貯めた原資が減少する危険性があります。

貯めた原資の使途

退職金目的に貯めたからといって、使途が退職金に限定されるわけではありません。万が一、業績が悪化してしまった場合には、貯めた原資を取り崩して運転資金として活用することも可能です。その場合、解約して全額を取り出すだけでなく、部分解約(保障の減額)して必要な分だけを現金化することも可能なため、残りを引き続き退職金の原資とすることができます。

長期平準定期保険の特性

長期間(概ね15年以上)に渡って積立てる場合、長期平準定期保険という商品を使用する可能性が高くなります。この商品はバリエーションが豊富で、特筆すべきは「非喫煙」という保険料率が存在します。被保険者に喫煙習慣がなければ支払保険料が割り引かれるため、その分解約返戻率も高くなります。

役員退職金の留意事項

役員退職金は税制の優遇があるため高額に設定されがちですが、相続も視野に入れて検討されることをお薦め致します。特に後継者が子供の場合、「事業承継」「相続」「役員退職金」は密接に関係してくるため、なるべく早い段階から準備をしておくことが肝要です。

以上のように、ひとくちに役員退職金といっても様々な要素が関連してくるため、複合的な視点で捉えておく必要があります。老後にいくらあれば安心か、ということだけではなく、もっと精緻な備えがご希望であればお問合わせ下さい。